知平

大槻, 2014.01.01

PDF版は、こちら→essay_20140113.pdf

【はじめに】
 2014年の元旦を迎えるにあたり、現状認識、心づもり、今後の活動の方向性について、赴くままに書いておこうと思い立ち筆をとりました。書くということは、考えを進めるということです。従って、書き始めると、過去との矛盾は問わずに、どんどんへんな方向に行ってしまうかもしれません。随想集のタイトル「知平」は、「知」の「地平線」といった意味合いの造語です。どこまで走っても行き着かない世界が広がっていることを象徴しています。

 一応、この随想全体の骨組みは、哲学から始めて、科学、工学、そして、ビジネスへという流れを想定しています。最後に、いくつか具体的なコンサルティングや一のビジネスソリューションの芽が出てくるとよいと何となく思っています。では、始めていくことにしましょう。

2014年元旦
大槻 繁

【おわりに】
 ものを書くというのは、結構骨が折れるものです。考えをまとめるために書き始めた随想ですが、とりとめもない内容になってしまいました。ここのところ読んだ書籍のリファレンスを残すようにしたことと、方向性についての確認はまとめることができたと思います。あえて絵や図を一つも描かなかったのですが、イメージを膨らませるにはこの制限は効果があったように思えます。

→【哲学のすすめ】
→【使える仏教】
→【知の基盤としての数学】
→【新ソフトウェア宣言その後】
→【これからの予測技術】
→【メタウェアの芽】

 随想集としては6編からなる短いものです。中程の『新ソフトウェア宣言その後』が中心になっています。この宣言は骨格がしっかりとしていて、完備で美しい宣言だと思っています。何かしら新しいことを考えついても、7つの宣言文のどこかに落とし込まれます。『これからの予測技術』と『メタウェアの芽』は、考察にあまり時間をかけることができていませんが、今年は、このあたりをしっかりとしたソリューションにしていければよいと考えています。

 この随想は、今後、具体的にソリューションをつくっていく時の下敷きになるものです。ところどころに妄想やとんでもない勘違いもあると思いますが、追々修正されていくと思います。何かお気づきの点や、アドバイスなどありましたら、存分にお寄せください。

 では、今年もよい年になりますように。

大槻繁


《参考文献》
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(マイケル・F・アティヤ, 『数学とは何か?』, 朝倉書店, 2010.11.25)
[Brooks2010] Frederic P. Brooks, Jr., The Design of Design: Essays from a Computer Scientist, Addison-Wesley, 2010.4.1
(フレデリック・P・ブルックスJr, 『デザインのためのデザイン』, ピアソン, 2010.12.25)
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[Fujii2012] 藤井聡, 『プラグマティズムの作法:閉塞感を打ち破る思考の習慣』, 技術評論社, 2012.4.18
[Go2011] 呉智英, 『つぎはぎ仏教入門』, 筑摩書房, 2011.7.25
[Hashizume2009] 橋爪大三郎, 『はじめての言語ゲーム』, 講談社現代新書, 2009.7.20
[Hashizume2011] 橋爪大三郎, 大澤真幸, 『不思議なキリスト教』, 講談社現代新書, 2011.5.20
[Hashizume2013] 橋爪大三郎, 大澤真幸, 『ゆかいな仏教』, サンガ新書, 2013.11.1
[Hirano2010] 平野敦士カール, 『プラットフォーム戦略』, 東洋経済新聞社, 2010.8.12
[Johnson2007] Neil Johnson, Simply Complexity: A Clear Guide to Complexity Theory, Oneworld Publications, 2007
(ニール・ジョンソン, 『複雑で単純な世界:不確実なできごとを複雑系で予測する』, インターシフト, 2011.12.15)
[Kikuchi2008] 菊地奈穂美, 飯泉純子, 亀田康雄, 細川宣啓, 渡辺千恵子, 大槻繁, 『見積り法COCOMOⅡ概説』, SEC Journal Volume12, 2008.1.15
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(クラウス・クリッペンドルフ, 『意味論的転回:デザインの新しい基礎理論』, 星雲社, 2009.4.1)
[Lakoff2001] George Lakoff and Rafael E. Nunez, Where Mathematics Comes From, Basic Books, 2001.8.7
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[Mesquita2009] Bruce Bueno de Mesquita, The Predictioneer’s Game, Random House Publishing Group, 2009
(ブルース・ブエノ・デ・メスキータ, 『ゲーム理論で不幸な未来が変わる』, 徳間書店, 2010.5.31)
[Michell2009] Melanie Mitchell, Complexity: A Guided Tour, Oxford Press, 2009
(メラニー・ミッチェル, 『ガイドツアー:複雑系の世界』, 紀伊國屋書店, 2011.12.7)
[Nakazawa2006] 中沢新一, 『三位一体モデル TRINITY』, 東京糸井重里事務所, 2006.11.1
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[Psec2013b] P-sec WG2(大槻まとめ), 『仙石社長:知のプラットフォーム講演会解説』, WG2(ソフトウェアの方法論に関する実践知と社会基盤)オプショナルツアー(三技協様訪問), 2013.10.27
[Putnam1995] Hilary Putnam, Pragmatism, 1995
(ヒラリー・パトナム, 『プラグマティズム:限りなき探求』, 晃洋書房, 2013.2.20)
[Randall2012] Lisa Randall, Knocking on Heaven’s Door: How Physics and Scientific Thinking Illuminate the Universe and the Modern World, Ecco; Reprint版, 2012.10.2
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(ロナルド・G・ロス, グラディス・S・W・ラム, 『ITエンジニアのためのビジネスアナリシス』, 日経BP社, 2012.11.26)
[Ross2013] Ronald G. Ross, Business Rule Concepts: Getting to the Point of Knowledge (Fourth Edition), Business Rules Solutions, LLC, 2013
(ロナルド・G・ロス, 『アジャイル経営のためのビジネスルールマネジメント入門』), 日経BP社, 2013.7.29
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[Tachibana2012] 橘玲, 『かっこにっぽんじん(日本人)』, 幻冬舎, 2012.5.10
[Takeda1993] 竹田青嗣, 『はじめての現象学』, 海鳥社, 1993.4.27
[Tomono2006] 友野典男, 『行動経済学:経済は「感情」で動いている』, 光文社新書, 2006.5.20
[Wittgenstein2003] Ludwig Wittgenstein, Philosophische Untersucheungen, Suhrkamp Verlag Frankfurt am Main, 2003
(丘沢静也訳, 『哲学探究』, 岩波書店, 2013.8.29)
[Yamada2004] 山田正樹, 『実行可能知識と様相研究所作品集』
(・実行可能な知識とソフトウェア(1):システムに適した知識の表現方法を
  探る,@IT 記事, 2004.3.17
 ・実行可能な知識とソフトウェア(2):知識とソフトウェアのギャップ、
  それをどう埋めるのか?, @IT 記事, 2004.4.6
 ・知識創造とソフトウェア開発(Software People,Vol.2,2003.4.15)
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[Yamada2009] 山田正樹, 大槻繁, 『人働説から知働説へ』, 知働化研究会, 2009.7.15
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[Yasutomi2011] 安冨歩, 『生きる技法』, 青灯社, 2011.12.25